角田光代 著
角田さんの「紙の月」を読み角田さん熱が再燃したためこちらも久々に読んだのでメモしておきます。
実際に起きた事件をモチーフに書かれた短編集です。
事件は事実だけどそこに至るまでのことや背景はフィクションです。
どの話も実際に起きている事件がもとになっているのでなんともリアルです。
普通の日常が積み重なってるだけなのに気付いたら犯罪に関わっていってしまう・・・
これが恐怖です。
誰でもそうなるかもという怖さ。
私が好きなのは「ゆうべの花火」という話。
ある女性がある男性から好意をもたれて交際に発展する。
そして少したつと男性が妻帯者だということが判明する。よくあるやつ。
妻とはうまくいっていないという言葉を信じてその後も交際していくがどんどん女性の気持ちの方が大きくなっていき、女性は精神的に追い詰められていくというような話です。
物語の中でよく出てきて強調されていたのが
「最初に好きになったのは向こうだ」
という言葉。
向こうから好きになったんだからそんなわけない、こんなはずじゃない、という気持ちが女性をどんどん暴走に走らせていったのかなと思います。
最終的に女性は犯罪を犯してしまうわけですが個人的にここまではしないかな・・・と思ってしまいます。
でも恋愛してるとどうにもコントロールできない気持ちが生まれてくることもあるから
言い切れないかもしれませんが。
もう1つ好きなのは最後の「光の川」という話。
母親の介護に疲れた男性が罪を犯してしまう話。
今多くなっているの介護の問題です。
ワンオペ育児ならぬワンオペ介護の悲劇です。
仕方ない理由で一人で介護するしかない場合本当にどうしていったらいいのか考えさせられます。
誰にでも起こることなので考えちゃいます。
うーん、この話だけは犯罪なんだけど仕方ないと思ってしまうくらい切ない話です。
誰も悪くないよって思った。
そして今どこの家庭で起きてもおかしくない問題だなと思いました。
この短編集本当におもしろいです。